今回紹介するのは「悪役令嬢は夜告鳥をめざす」です。
都内で一人暮らしのアラサー喪女が「転生先でも医師になってみせますわ」というネット小説の世界へ転生します。
転生したキャラクターは主人公で悪役令嬢の「リーゼリット・フォン・ロータス」でした。(ロータス家の三女、14歳)
リーゼリットは最初、どの小説の世界に転生したかが分からず、前世で喪女を貫いてしまったため、自由に大恋愛ができるモブキャラであることを望みます。
リーゼリットはお付きのナキアと護衛のカイルと共に数日後のお茶会に着るドレスの微調整をしに王都の別邸へ向かう途中で、事故に遭った少年を助けます。
リーゼリットは前世で看護師をしており、博士課程を経て看護大で教職についていました。その為、その知識を使って少年を助けることができたのでした。
助けた少年の弟に礼がしたいから名を教えてくれと言われますが、社交界で出くわすと嫌だったため、名乗らずにその場を去りました。
リーゼリットはこの世界の情報集めの為王立図書館に向かいました。そこで自国医療者の第一人者「ボリス・ツー・ヘネシー」に出会い、薬と医学の先進国や現在の医療を知るための書物を教えてもらいます。
参加予定だったお茶会が中止になり、王家主催のお茶会から招待状が届きます。
そこでゲーム版のヒロイン「エレノア・ツー・マクラーレン」、そして第一王子である「ファルス」と第二王子である「ギルベルト」を見たことで、この世界が「転生先でも医師になって見せますわ」の世界であることに気が付きます。
リーゼリットが事故に遭ったのを助けた少年はファルスだったのでした。
ゲームでは嫉妬にかられヒロインが開発した新薬を盗み、隣国に売りつけようとし、「弾劾されて磔刑行き」か、「隣国に裏切られて殺される」かの未来しかありませんでした。
一方で原作小説のリーゼリットは攻略キャラのギルベルトをゲットし幸せな余生を送っていました。しかし、それは小説のリーゼリットの前世が医師だったからでした。
亡くなるはずだったファルスを救ったことで物語の前提が変わってしまったので、これから先に起こることが何一つわからなくなり、詰みの状況になってしまいました。
このお茶会ではリーゼリットのような金髪翠眼の少女だけを集めており、その目的がファルスを救った自分(リーゼリット)を探すことだと気づきます。
王子たちに見つかってしまったら、ろくな未来にならないと思ったリーゼリットは、ばれないように挨拶を済ませました。
その後、エレノアが王子たちに挨拶をするのですが、偶然王子がお礼に渡した髪飾りと似たものをつけていることから、リーゼリットの代わりに探していた令嬢だと思われたのでした。
リーゼリットは悪役令嬢からヒロインの親友へ華麗なジョブチェンジをができたと思い喜びましたが、第二王子のギルベルトには見破られてしまい、婚約を言い渡されます。
リーゼリットはこれから先起こる未来で助けられる命を救う夢をかなえるため、そしてこの世界のナイチンゲールを目指すために、婚約を受けるのでした。
その後、統計学を学ぶために教師を呼んだら、攻略キャラである「レスター・フォン・ローバー」に結婚してくれと言われたりしますが、最終的にはギルベルトの未来を救うと決心したのでした。
良かった点
①リーゼリットの夢が大きなものである
悪役令嬢として破滅しないようにとか、自分の推しキャラと恋愛したいとかではなく、この世界の人々を救いたいという夢は、悪役令嬢でありながら主人公でもあるというポジションだからこそ目指せるものなのかなと思いました。
大きな夢なだけに漫画の内容も濃い内容になりそうなのが良い点だと思いました。一般的な女の子の夢とは違うという点も良いと思います。
②ギルベルトがこんな序盤で既に可愛い
お互いの利害の一致の為に婚約すると言っていた割には、どうみてもリーゼリットのことを好きなのが読者にはわかるのが読んでいてにやにやしちゃいました。我々男性読者にとって、悪役令嬢だけでなくその相手にも魅力を感じないとなかなか読む気にはなれないので、そういった点でこの漫画は非常に良いところを言っていると思います。
気になる点
①攻略キャラを落とすスピードが早すぎる
みんなあっという間にリーゼリットを好きになってしまうので、そこの過程はもう少し有ってもいいんじゃないかなと思いました。
②内容が少し複雑
悪役令嬢の主人公、ゲーム版のヒロイン、統計学に関してなど、頭を空っぽにして読むには少し複雑な内容かなと感じたので、気軽に読みたい人には向かないかもしれないと思いました。