ネタバレ注意
「ふつつかな悪女ではございますが ~雛宮蝶鼠とりかえ伝~」の3巻レビューです。
慧月の父親は慧月を置いてどこかへ行ってしまい、母親は最初は慧月をいたぶっていましたが、両方とも借金をしてしまいその対応に追われ、慧月は徹底的に放置されました。
慧月は温もりを求め炎と会話するうちに、道術を完全に習得しました。同時に両親が二人とも自殺してしまいました。
そこへ声をかけたのが朱貴妃でしたが、「道術で玲琳と入れ替わればよかったのに」と言われた為、入れ替わりを行ったのでした。
貴妃は何のために慧月に声をかけたのでしょうか。最初から道術で玲琳と入れ替わることができることを知っていたからなのでしょうか。あまりにも慧月が不憫すぎます…。
慧月は病に苦しんでいましたが、玲琳の破魔の矢により、一命をとりとめました。
しかし、冬雪に正体がばれてしまい詰められますが、正体を見破れず罵った主人に駆け寄って詫びるべきと言い冬雪を退けました。
慧月は何故気力も知識もない自分が生き延びたのか、病が破魔の矢の弦音で癒えたのかを疑問に思います。
実は慧月が苦しんでいたのは「病」ではなく、道術最大の禁術である蠱毒による「呪い」でした。
この禁術を慧月以外に正確に把握している人物は、朱貴妃ただ一人でした。
道術を慧月から会得するためだけに声をかけただけでは飽き足らず、その道術を使って慧月を殺そうとするとは…。貴妃は少し怪しいなと思っていましたが、ここまで冷酷な人物だとは思いませんでした。慧月も貴妃を心から信頼していたから禁術を教えたはずなのに、それを裏切るとは言語道断ですね。
冬雪は慧月をいたぶる気でいましたが、玲琳は以前冬雪に自分のことを気付かなかったことを盾に、「慧月への攻撃と自害、黄麒宮を辞すること、殿下や陛下に事実を告げること」を禁ずることで償わせるのでした。
上手い償いのさせ方でしたね。もとより玲琳が慧月に対して恨み返していることなどないことは分かり切っていましたが、事実を公表せず、体を返すことは出来るのでしょうか。入れ替わりがばれてしまうのは時間の問題ですよね。
玲琳の回復を祝う茶会で、絹秀はかつて雛女だった時の話をします。絹秀と貴妃は固い友情で結ばれていました。
貴妃はただ素直に絹秀のことを思いながら心配しており、絹秀もまた不器用ながらも貴妃のことを大切に思っているという純粋な友情関係ですね!
貴妃は当時「殿下の芙蓉」と呼ばれて殿下から寵愛を受けており、だれもが皇后になると思われていました。
しかし、皇太子弦耀は伝染病を患ってしまい、雛女たちは各宮にて禁足をしていましたが、絹秀だけは感染を恐れず看病をし続けました。その為、絹秀は皇后に選ばれました。
絹秀は男らしく勇敢で、それでいて丁寧さも持ち合わせた有能な女性ですね。4夫人の序列に拘らず「皇后にならなってもいい」という執着がない生き方こそが皇后になる素質だったのでしょう。
20年前、絹秀と貴妃は同時期に妊娠しましたが、絹秀の子「尭明」は生まれましたが、貴妃の皇子は死産してしまいました。
その事を口にした金淑妃により、絹秀は茶会を散会させます。貴妃に自分のためかと問われますが、絹秀はなんのことだと誤魔化します。
貴妃が去り、絹秀が玲琳のもとに訪ねようとした時、謎の胸の痛みにより、絹秀は倒れてしまいます。
大体、金淑妃のせい。内輪を乱す人ってなぜかどこにでもいますよね。貴妃に絹秀への殺意まで抱かせた罪は重すぎますよ…。
玲琳が目を覚ますと鷲官長が見舞いに来ます。鷲官長にお前は何者だと詰められるもなんとか躱すことができました。
「突然、美しくなれるものだろうか」って半ば告白しているようなものですよね。それからの急接近(物理)のコンボはやばすぎます。それを「ごめんあそばせ!」の頭突き一つで乗り切った玲琳も面白かったです。ずっとそうですが、やはりこの子はまぎれもないパワータイプですよね笑。
玲琳が慧月と話したいと思うと、道術で慧月が現れました。慧月は自分が消えてしまかったことを、玲琳に憧れていたことを告げます。
さらに入れ替わりと病を仕組んだのは朱貴妃であることを伝えます。貴妃の目的は、宮内の衛生管理に関して有能な玲琳を殺し、蠱毒により絹秀を殺すことでした。
自分を殺してもいいというほど玲琳に憧れ、罪を認め謝れる。慧月はただ踊らされただけのかわいそうな女の子で、実は一番悲惨なポジションにいますよね。入れ替わり後も病で倒れるし…。
1巻で貴妃は虫すらも殺さないようにしているとありましたが、蠱毒を使うためだったのでしょうか…。怖すぎる!!
会話の途中、尭明が来たので急いで火を消し会話を終えます。
尭明は紫龍泉で汲んできた傷をいやす水を渡しに来たのでした。その途中で絹秀が倒れたと鷲官長から知らされます。
玲琳はこれが呪いのせいであり、もう一度破魔の弓を引かせるように頼みますが、尭明に破魔の弓を使う事を認められませんでした。玲琳(慧月)は自分のことを3度も信じてくれなかった尭明に失望し、罰は受けるからと絹秀の元へ向かうのでした。
尭明に失望した玲琳の表情やばかったですね。あんなに明るく誰にでも好意的な玲琳があんな表情するんだ…と心がざわつくコマでした。
尭明はすれ違う際、真実を映す紫龍泉の水面に映ったのは、慧月ではなく玲琳だったことに気が付き、入れ替わりに気づいたのでした。
さすがに遅すぎた!もうこれはダメかもわからんね。こっから尭明が玲琳からの信頼と好意を取り戻すにはかなりの無理を通さないといけませんよね~。ご愁傷様です…。
玲琳はひとまず絹秀の様子を確認し、慧月の元へ向かうのでした。
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