ネタバレ注意
「煙と蜜」の6巻の感想です。
6巻は鉄との問題に焦点を当てたお話でしたね。
第四十五話「斜光と薄煙」
姫子は正月早々みんなに心配かけてしまったことを気にしていました。自分がもっと大きくて強かったらみんなに心配かけずに済むのにと思っていましたが、瑞子にそれなら大きくて立派な文治のことは心配しないのかと訊かれ、どんなに強くても大切な人の心配はするものだと気づきました。
心配してくれる家族が居るというのは良いものですね。心配かけると申し訳ない気持ちになるので、どうすれば心配かけなくていいのかと考える時もありますね。
第四十六話「柔術と柔道」&第四十七話「血と汗」
文治は鉄を、10日後に行われる試合に出る、弟の勝治の対戦相手にすることにしました。
文治が鉄を鍛えるのは、勝治を人殺しにさせないためと姫子が正月に味わった苦しみを味合わせるためでした。
文治がどれだけ怒っているかが分かるお話でしたね。死ぬよりきつい苦しみを与えようとしている感じが伝わってきて迫力のあるシーンだなと思いました。
鉄は何回気絶したんでしょう…。気絶→無理やり起こす→気絶…という地獄のようなループに入っていましたが、それでも反抗的な態度を辞めない鉄は過去に何があったのかが気になりますね。
第四十八話「包帯と帯」
文治は姫子の家に訪れましたが、その際に包帯が外れて怪我を見せてしまい姫子を驚かせてしまいました。
柔道着を初めて見た姫子は、文治に文治の柔道着を着せてもらって喜ぶのでした。
その後文治は姫子に、元旦に鉄と起きたことを自分と再現してほしいというのでした。
軍人が怪我をして帰ってくるのはよくあるお話だと考えられるのですが、文治のような階級が高い軍人が怪我をして帰ってくるのは相当な事態ですよね。姫子が驚き倒れそうになる気持ちも分かります。
柔道着を着せてもらった姫子が可愛かったですね。大きい柔道着が姫子の小ささを際立たせていて可愛らしいお化けのようでした。
第四十九話「赤顔と蕾」
元旦での出来事を再現したことで客観的に自分が何をされていたのかを理解できた姫子。
大人になるには知らなければいけないことがたくさんあると知った姫子でしたが、分からないことを教わるなら文治からが良いと言うのでした。
文治の教え方が優しくて良いですよね。子ども扱いせずに丁寧に教えてあげる姿勢が姫子にとって嬉しいのでしょうね。
どさくさに紛れていちゃついてるところに癒されました。
第五十話「対立と予覚」
陸軍と海軍の試合当日、鉄は文治を貶したため勝治の怒りを買ってしまいました。
勝治は文治のこと(を貶される)になるとものすごい早さでキレますが、海軍の方では冷静な性格なのでしょうか。文治に対する思いが特別強いという感じに受け取れるので、基本的には冷静そうに思えるのですが…。
第五十一話「報復と残り香」
鉄と勝治の試合になり、勝負は勝治の一方的な展開で早くも試合が決まったと思いきや、鉄を応援する声が…。
鉄は姫子のことをどう思っていたのでしょうか。もう会うことはないと言っていましたが、ただのきまぐれで会わないと決めたという感じではなさそうですよね。文治が鉄を姫子に今後絶対に会わせないようにしようとしているのもありますが…。
第五十二話「北風と太陽」
北風の強い日に漁に出た鉄の父親は死んでしまい、そこから世間の冷たい風にさらされ続けた鉄は荒れるようになってしまったという過去がありました。
そんな過去の中で一度もなかった姫子の温かい応援によって負けられないと奮起した鉄は、勝治に食らいつきました。
負けてはしまいましたが、初めて応援されて温かい気持ちになった鉄でした。
鉄には今まで味方が一人もいなかったのですね。姫子を手籠めにしようとしたのは許されませんが、悪意から自分を守るために荒れた性格になったと考えると、姫子たちからの初めての善意を受けたことによって今後どう変わっていくのか楽しみです。
第五十三話「汽笛と微声」
名古屋港にきた姫子と文治。文治は今回の件(鉄の件)で姫子に巻き込んでしまったことを謝りますが、姫子は文治のおかげで少し大人になれたと言いました。
お決まりの「好き」の言葉が大きい音に消されてしまうという展開でしたが、流石は文治でしっかり聞き逃さず「愛おしい」と返し、読者の私を満足させてくれました。
7巻の感想について